体重減少
「なぜ体重が減るの?―体重減少が示す可能性のある病気とその対応」
はじめに
突然、あるいは意図せずに体重が減ると、驚きと不安を感じることでしょう。ダイエットをしていないのに体重が落ちる「意図しない体重減少」は、体が何らかの健康上のサインを発している可能性があります。この記事では、考えられる主な原因と対処法について、わかりやすく解説します。
1. 「意図しない体重減少」とは?
「意図しない体重減少」とは、ダイエットや運動をしていないのに、自然に体重が落ちる状態を指します。目安としては、6~12ヶ月で体重の5%または4.5kg以上の減少です。特に高齢者では、多くのケースで何らかの病気が隠れているとされています。
2. 体重減少の主な原因
(1) 内分泌・代謝の病気
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
代謝が過剰になり、エネルギー消費が増えて体重減少を招きます。動悸や手の震え、汗をかきやすいなどの症状を伴うことがあります。
(2) 消化器系の病気
炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
慢性的な炎症や下痢・腹痛により、食欲低下や栄養吸収不足が起きます。
膵炎や慢性膵炎
膵臓の機能障害により、栄養の消化・吸収が妨げられることがあります。
(3) 精神的な影響
うつ病・不安障害
気分の落ち込みにより食欲が落ち、食事量が減ることで体重が減少することがあります。
認知症
食事を忘れる、飲み込みが難しい、食べ物を認識できないなどが体重減少の原因となります。
(4) 感染症
結核や慢性感染症
持続的な体重減少や発熱、咳などを伴うことがあります。
(5) がん・悪性腫瘍
がんがあると、食欲低下、代謝の異常、筋肉の減少などにより体重が急激に減少することがあります。短期間での体重減少は、がんのサインの一つとなることもあります。
(6) 栄養不良・カロリー不足
食事量の不足や栄養バランスの偏りにより、体重減少だけでなく体力低下も引き起こします。
3. 体重減少が心配なときにすべきこと
まずは記録をつけましょう
- いつから、どのくらい体重が減ったか
- 食欲の変化
- その他の症状(熱、痛み、下痢など)
早めに医療機関を受診しましょう
診断の流れ:
- 問診・身体診察
- 血液・尿検査(甲状腺、血糖、炎症の検査など)
- 必要に応じて画像検査(CT、内視鏡検査など)
- 専門科への紹介
4. 体重減少に対する治療とケア
基礎疾患の治療
甲状腺の病気にはお薬による治療、炎症性疾患やがんには専門的な治療を行います。
栄養サポート
食事療法、栄養補助食品、必要に応じて点滴による栄養補給を行います。
生活支援
食欲改善のための工夫や、心理的なサポート、リハビリによる筋肉量維持を行います。
5. 日常生活での注意点
- 定期的に体重を測る習慣をつけましょう
- 食事がとりにくい、気分が沈むなど、いつもと違う症状があれば早めにご相談ください
- バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう
おわりに
意図しない体重減少は、体からの大切なサインかもしれません。さまざまな病気の可能性があるため、早期に原因を見つけて適切な治療を受けることが重要です。「いつもと違う」と感じたら、遠慮なく当クリニックにご相談ください。

片山クリニック
院長 矢島 秀教
- 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本医師会認定産業医
