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糖尿病の方が歯周病になりやすい4つの理由|歯科受診で血糖コントロールが改善

[2026.04.24]

「最近、歯科の先生に糖尿病のことを聞かれた」「かかりつけ医から歯科に行くよう勧められた」——そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。一見、糖尿病と歯の健康はあまり関係がないように思えますが、実はこの2つは深くつながっています。

お口の中の状態が、血糖値に影響を与える。逆に、血糖値が高い状態が続くと、歯や歯ぐきにも悪影響が出る。こうした「全身とお口の健康のつながり」について、今回はできるだけわかりやすくご説明します。糖尿病をお持ちの方はもちろん、そのご家族の方にもぜひ読んでいただきたい内容です。

そもそも歯周病とはどんな病気?

歯周病とは、歯と歯ぐきの境目に溜まった歯垢(プラーク)の中の細菌が原因となって、歯ぐきや歯を支える骨に炎症が起きる病気です。日本人の成人の約8割が歯周病、もしくはその予備軍と言われており、虫歯と並ぶ「歯を失う2大原因」のひとつです。

歯周病の初期段階(歯肉炎)では、歯ぐきが赤くなったり、歯磨きのときに出血したりすることがあります。この段階では、適切なケアをすることで回復が見込めます。しかし放置して進行すると、歯ぐきの中の骨(歯槽骨)が徐々に溶けていき、やがて歯がぐらついて、最終的には抜歯が必要になることもあります。

怖いのは、歯周病は進行しても痛みをほとんど感じないことが多い点です。「歯が痛くないから問題ない」と思っていても、気づかないうちに骨が溶け始めているケースは珍しくありません。定期的な歯科受診が重要な理由のひとつがここにあります。

糖尿病の方が歯周病になりやすい理由

糖尿病の方が歯周病にかかりやすく、重症化しやすい理由はいくつかあります。

① 免疫力の低下
糖尿病になると、血糖値が高い状態が続くことで白血球の働きが低下します。白血球は体の中に入り込んだ細菌やウイルスをやっつける免疫細胞ですが、その機能が落ちると、口の中の細菌への抵抗力も弱まります。その結果、歯周病菌が繁殖しやすくなり、炎症が起きやすくなります。

② 唾液の量・質の変化
糖尿病の方は口が渇きやすい(口渇)という症状が出ることがあります。唾液には口の中を洗い流したり、細菌の増殖を抑えたりする大切な働きがあります。唾液が減ると、口の中の自浄作用が落ち、歯垢が溜まりやすくなります。

③ 血管や神経への影響
糖尿病の合併症として、全身の細い血管や神経が傷つきやすくなることが知られています。歯ぐきにも細かい血管が張り巡らされており、血流が悪くなると歯ぐきの組織が弱まり、炎症が治りにくくなります。

④ 傷の治りが遅い
糖尿病の方は一般的に傷の治りが遅い傾向があります。歯ぐきに炎症が起きても回復に時間がかかるため、歯周病が慢性化・重症化しやすいのです。

歯周病が悪化すると、血糖値にも影響する

さらに重要なのは、この関係が一方通行ではないという点です。

歯周病が進行すると、炎症の部位から「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質が血液中に放出されます。この物質がインスリンの働きを妨げることがわかっており、血糖値のコントロールをより難しくしてしまいます。

🩺 糖尿病(免疫力の低下・血流悪化)⇔ 🦷 歯周病(炎症物質の増加)

糖尿病が歯周病を悪化させ、歯周病が糖尿病を悪化させる——この悪循環を断ち切ることが、どちらの病気の管理にとっても大切です。

実際に、歯周病の治療を行うことで血糖値(HbA1c)が改善したというデータが複数の研究で報告されています。もちろん歯科治療だけで糖尿病が治るわけではありませんが、お口のケアが血糖コントロールのサポートになり得ることは、医学的にも認められつつあります。

こんな症状があったら要注意

以下のような症状がある場合、歯周病が進行しているサインかもしれません。早めに歯科医院を受診してください。

  • 歯磨きのときに歯ぐきから血が出る
  • 歯ぐきが赤く腫れている、または触ると痛い
  • 口の中がねばねばする感じがある
  • 口臭が気になる(または家族から指摘された)
  • 歯と歯ぐきの間に隙間ができてきた気がする
  • 歯がぐらつく感じがある
  • 食べ物が挟まりやすくなった

これらの症状がひとつでも当てはまる方は、できるだけ早めに歯科医院でチェックしてもらうことをおすすめします。「そのうち治るだろう」と様子を見ているうちに、歯周病が進行してしまうケースが多いためです。

毎日のセルフケアで大切なこと

歯科医院での定期的なケアと合わせて、毎日のご自身によるケアも非常に重要です。

食後の歯磨きを習慣に
食事のたびに歯磨きをすることが理想ですが、難しい場合は少なくとも寝る前の歯磨きは丁寧に行いましょう。就寝中は唾液の分泌が減り、細菌が繁殖しやすい環境になるためです。

デンタルフロスや歯間ブラシを活用する
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを落とすことはできません。デンタルフロスや歯間ブラシを使うことで、歯周病の原因となる歯垢をより効果的に除去できます。

血糖コントロールもお口の健康に直結
血糖値を安定させることは、そのまま歯ぐきの健康を守ることにもつながります。食事・運動・服薬をしっかり続けることが、お口のケアにもなっているのです。

🌿 お口の健康は、全身の健康への入り口です

糖尿病の管理といえば、血糖値・食事・運動・お薬のイメージが強いかもしれません。でも、お口のケアも大切な「治療の一部」です。歯科受診を習慣にすることで、血糖値の安定はもちろん、食事をおいしく食べられること、自信を持って話せることなど、毎日の生活の質そのものの向上につながります。

片山クリニック
院長 矢島 秀教

  • 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本医師会認定産業医
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