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拡張期血圧が高い原因と対策:日本人に多い"隠れ高血圧"をわかりやすく解説

[2025.11.28]

 血圧というと、どうしても上の血圧、つまり収縮期血圧に目が向きがちですが、実は下の血圧である拡張期血圧が高い状態も、体にさまざまな負担をかけることが知られています。日本では「上が高いなら問題だけれど、下が少し高い程度なら大したことはない」と考えてしまう人も少なくありません。しかし、拡張期血圧が上昇しているということは、血管の中で常に高い圧力がかかり続けていることを意味し、心臓や血管に負担がかかり、動脈硬化の進行が早まる可能性があるため、決して放置してよいものではありません。

拡張期高血圧とは

 正常な血圧は一般に「上が120未満・下が80未満」とされていますが、拡張期血圧が90mmHg以上になると「高血圧」と診断されます。特に若い世代では、収縮期血圧は正常でも拡張期血圧だけが高くなる「拡張期高血圧」が見られることがあります。ストレスの多い仕事、深夜までの勤務、不規則な生活習慣、塩分の多い食事などが重なると、まだ動脈が柔らかい年代でも、血管が常に締めつけられた状態になりやすいのです。日本では働き盛りの40代・50代を中心に、健診で「下の血圧だけ高い」と指摘される人が増えています。

体への影響

 拡張期血圧が高い状態が続くと、心臓は常に圧力に逆らって血液を送り続けなければならず、心臓の筋肉が厚くなる「心肥大」につながる可能性があります。また、脳や腎臓などの細い血管にも負担がかかり、将来的な脳卒中や腎機能低下といった深刻な病気のリスクを高めてしまいます。

 さらに、拡張期血圧が高い人は、日中の頭痛や肩こり、動悸、不眠などを自覚することも少なくありません。特に深夜の交感神経が働きすぎて血圧が下がらない人では、睡眠の質が低下し、翌日の疲労感や集中力低下にもつながります。

主な原因

塩分のとりすぎ

 拡張期血圧を上げる原因の中でも、日本人に特に多いのが「塩分のとりすぎ」です。味噌汁、漬物、麺類、加工食品など、日常的に口にしている食べ物には多くの塩分が含まれており、無意識のうちに1日の摂取量が増えてしまうことがあります。厚生労働省が推奨する1日の塩分量は男性で7.5g未満、女性で6.5g未満ですが、現実にはこれを超えている人が多いといわれています。

ストレスと睡眠不足

 慢性的なストレスや睡眠不足は自律神経のバランスを崩し、血管が緊張して拡張期血圧が上がりやすくなる要因です。

運動不足

 もうひとつ、見逃されやすい原因として「運動不足」があります。体を動かす機会が少なくなると、血管が硬くなり、血液が流れにくくなります。その結果、心臓は強い圧をかけて血液を押し出さなければならず、拡張期血圧が上昇することにつながります。デスクワーク中心の生活をしている人や、コロナ禍以降に運動量が減った人では特に注意が必要です。

改善するための対策

食生活の見直し

 拡張期血圧を改善するためには、まず自分の生活習慣を見直すことが大切です。塩分を控えるために、味噌汁やスープは「具だくさん、汁少なめ」にする、麺類のスープは飲み干さない、加工食品を摂りすぎないといった工夫が役立ちます。カリウムが豊富な野菜や果物を意識的に摂ることで、余分な塩分を体外に排出しやすくなります。

睡眠の質を高める

 睡眠時間を確保し、寝る前のスマートフォン使用を控えることで、自律神経が整いやすくなり、血圧が自然と下がりやすくなります。

適度な運動

 運動に関しては、激しい運動である必要はありません。ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を週に数回行うだけでも、血管が柔らかくなり、拡張期血圧を下げる効果が期待できます。特に、長時間座り続ける習慣のある人は、1時間に1回立ち上がって体を動かすだけでも血流が改善し、負担が軽くなります。

医療機関への相談

 それでも血圧が下がらない場合や、健診で「拡張期血圧が高い」と何度も指摘されている場合は、医師の診察を受けることが重要です。血圧を上げる隠れた病気がある場合もありますし、必要に応じて降圧薬が処方されることもあります。薬による治療は決して「最後の手段」ではなく、血管や心臓を守るための非常に効果的な方法です。

まとめ

 拡張期血圧が高いという事実は、体からの重要なサインです。放置せずに生活習慣を整え、必要に応じて医療機関に相談することで、将来の健康リスクを大きく減らすことができます。特に働き盛りの年代や、最近疲れやすくなったと感じている人は、自分の血圧がどのような状態なのか、改めて確認する機会をつくることをおすすめします。健康的な生活へ一歩踏み出すためのきっかけとして、拡張期血圧に注目してみてください。

片山クリニック
院長 矢島 秀教

  • 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本医師会認定産業医
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