日本脳炎ワクチンの接種スケジュールをわかりやすく解説 3歳から始める予防の基本と注意点
日本脳炎は、蚊を介して感染するウイルス性の感染症です。発症すると重篤な神経障害を残すことがある、非常に注意すべき疾患ですが、現在ではワクチン接種によって発症リスクを大幅に低減できることが分かっています。そのため、日本国内では定期接種として広く実施されています。
ただ、接種のタイミングや回数が複数に分かれているため、「いつ打てばいいのか分かりにくい」と感じている保護者の方も少なくありません。本記事では、日本脳炎ワクチンの標準的な接種スケジュールについて、わかりやすく解説します。
基本は合計4回。「第1期」と「第2期」に分けて受ける
日本脳炎ワクチンは、合計4回の接種が基本となっています。この4回は「第1期(3回)」と「第2期(1回)」に分けられており、それぞれ適切な年齢で受けることが重要です。
3歳になったら第1期のスタート
接種は、一般的に3歳から始めます。日本脳炎ウイルスへのリスクとワクチンの有効性・安全性のバランスを考慮したうえで設定された年齢です。3歳になったら、まず「第1期初回の1回目」を接種します。これは、免疫を作るための最初の大切なステップです。
続いて、1回目の接種から約1か月後(28日後を目安)に、「第1期初回の2回目」を受けます。2回目は、1回目で作られ始めた免疫をしっかりと強化する役割があります。この2回はセットで考え、間隔をできるだけ守って受けることが大切です。また、2回目は遅くとも6歳の誕生日までには完了しておくことが望ましいとされています。
約1年後に「ブースター接種」(3回目)
2回目の接種からおおむね1年が経過したタイミングで、「第1期追加」、いわゆる3回目の接種を行います。この3回目は、これまでに獲得した免疫を長期間持続させるための「ブースター接種」として位置づけられています。
小学校入学後に第2期(4回目・最終回)
最後の接種となる「第2期」は、9歳から12歳の間に受けることが推奨されています。子どもの頃に得た免疫はこの時期に徐々に低下してくるため、再度免疫を強化する目的で行います。第2期は13歳未満が定期接種の対象となるため、小学校中学年のうちに計画的に受けることが重要です。
スケジュールが遅れてしまっても、あきらめないで
体調不良や引っ越しなど、さまざまな事情で予定通りに接種できないことも当然あります。そのような場合でも、接種の機会を完全に逃してしまうわけではありません。
日本では一定の条件のもとで「キャッチアップ接種」が認められており、未接種分を後から補うことができます。ただし、対象年齢や自治体ごとの対応に違いがあるため、まずはかかりつけの医師や自治体の窓口に相談することをおすすめします。
接種後に見られることがある反応について
日本脳炎ワクチンは比較的安全性が高いとされていますが、接種後に接種部位の腫れや赤み、軽い発熱などが現れることがあります。これらは多くの場合、数日以内に自然に治まります。
患者数は減っているが、感染リスクはゼロではない
近年、日本脳炎の患者数自体は減少傾向にあります。しかしこれは、ワクチン接種が広く普及したことによる成果であり、ウイルスを保有する動物や媒介する蚊が消えたわけではありません。特に夏場は蚊の活動が活発になるため、ワクチンによる予防の重要性は変わりません。「患者が少ない=もう打たなくていい」ではなく、「接種を続けているから少ない」という視点で考えることが大切です。
まとめ
日本脳炎ワクチンは、3歳から始まり計4回にわたって接種するワクチンです。各回にそれぞれ役割と接種期限があるため、母子手帳や自治体からの案内を定期的に確認しながら、計画的に進めることが重要です。
スケジュールに不安がある場合や、接種が遅れているかもしれないと感じる場合は、遠慮なく医療機関にご相談ください。正しい知識と適切な準備が、お子さまを感染症から守る第一歩となります。
過去の記事もご参照ください。
> なぜ日本脳炎ワクチンは4回接種なのか?

片山クリニック
院長 矢島 秀教
- 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本医師会認定産業医
