QFT検査とT-SPOT検査の違いとは? 結核感染を調べる2つの血液検査をわかりやすく解説
結核は、現在でも世界的に重要な感染症の一つであり、日本国内でも毎年新たな患者さんが報告されています。結核というと「昔の病気」というイメージを持たれがちですが、実際には高齢者や免疫力が低下している方を中心に、今も注意が必要な疾患です。
その結核に「感染している可能性があるかどうか」を調べる検査として、現在日本で広く使われているのが QFT検査(クォンティフェロン) と T-SPOT検査 です。どちらも血液を使った検査ですが、仕組みや特徴には違いがあります。
まず、結核感染の検査について理解するために大切なのが、「結核に感染していること」と「結核を発病していること」は別だという点です。結核菌が体内に入っても、すぐに症状が出るとは限りません。菌が体内に潜んだまま、症状が出ない状態を「潜在性結核感染」と呼びます。QFTやT-SPOTは、この潜在性結核感染を見つけるための検査です。
QFT検査は、正式には「クォンティフェロンTBゴールドプラス(QFT-Plus)」と呼ばれます。採血した血液に、結核菌特有の成分を加えたときに、白血球がどれだけ「インターフェロンγ」という物質を出すかを測定します。結核菌に感染した経験があると、免疫が反応し、この物質が多く分泌されます。その量を数値として測ることで、感染の可能性を判断します。
一方、T-SPOT検査も同じくインターフェロンγを利用した検査ですが、考え方が少し異なります。T-SPOTでは、血液中のリンパ球を分離し、結核菌に反応した細胞が「いくつ存在するか」を顕微鏡レベルで数えます。つまり、QFTが「反応の強さ」を測る検査であるのに対し、T-SPOTは「反応している細胞の数」を直接数える検査だと言えます。
この違いは、検査の向き・不向きにも影響します。QFT検査は、採血後の処理が比較的簡単で、多くの医療機関や健診で導入しやすいという利点があります。そのため、職場健診や入職時健診など、人数が多い場面でよく利用されています。ただし、免疫力が低下している方では、反応が弱く出てしまい、正確な判定が難しくなる場合があります。
T-SPOT検査は、必要な血液量が比較的少なく、免疫力が低下している方でも判定が安定しやすいとされています。透析を受けている方、免疫抑制剤を使用している方、高齢者などでは、T-SPOTの方が適していると判断されることがあります。ただし、検査工程がやや複雑で、実施できる施設が限られる点は注意が必要です。
どちらの検査にも共通する大きなメリットは、BCGワクチンの影響をほとんど受けないという点です。かつて主流だったツベルクリン反応検査は、BCG接種によって陽性になることがありましたが、QFTやT-SPOTではその心配がほぼありません。このため、日本のようにBCG接種率が高い国では、現在これらの検査が主流となっています。
ただし、注意しなければならないのは、これらの検査だけで「結核を発病しているかどうか」は判断できないという点です。あくまで「感染歴の有無」を調べる検査であり、咳や発熱、体重減少などの症状がある場合には、胸部X線検査やCT検査、喀痰検査などを組み合わせて総合的に判断する必要があります。
QFTとT-SPOTのどちらを選ぶべきかは、年齢、基礎疾患、免疫状態、検査の目的などによって異なります。健診目的であればQFT、免疫力が低下している方やより正確な評価が求められる場合にはT-SPOTが選択されることが多いのが実情です。最終的には、医師が患者さん一人ひとりの状況を考慮して判断します。
| 項目 | QFT検査 | T-SPOT検査 |
|---|---|---|
| 測定するもの | 反応の強さ | 細胞の数 |
| 免疫低下時 | やや不安定 | 安定 |
| 実施施設 | 多い | やや限定 |
| 向いている場面 | 健診、多数検査 | 免疫低下者 |

片山クリニック
院長 矢島 秀教
- 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本医師会認定産業医
