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膀胱炎で尿中ケトンが陽性になるのはなぜ?

[2026.08.31]

 

膀胱炎そのものが尿中ケトン体を直接増やすわけではありません。感染症に伴う食欲低下・発熱・水分不足が、体を「糖」から「脂肪」を燃やすモードへと切り替えることで、結果的にケトン体が尿中に現れます。

典型的な経過
膀胱炎
→
食欲低下・発熱・水分不足
→
糖質が不足
→
脂肪を燃やす
→
尿ケトン陽性

ケトン体とは何か

ケトン体とは、体が脂肪を分解してエネルギーを作る際に生じる物質です。通常はブドウ糖が主要なエネルギー源ですが、食事が十分に取れない状態が続くと、体内の糖質が不足し、脂肪の利用が増えます。そのため、「膀胱炎になって食欲がなく、朝からほとんど食べていなかった」というだけでも、尿検査でケトン体が「±」や「1+」などの結果になることがあります。

また、感染症によって体のエネルギー消費が増えることも関係しています。特に発熱を伴う感染症では代謝が活発になるため、糖だけではエネルギーをまかないきれず、脂肪の分解が進んでケトン体が作られやすくなります。尿検査は膀胱や腎臓の状態だけを調べているわけではなく、こうした全身の代謝状態も反映しているのです。

「膀胱炎だから」と決めつけてはいけないケース

典型的な軽い膀胱炎で、食事も水分も普通に取れており、発熱もないのに尿ケトンが強く陽性になっている場合は、注意が必要です。「膀胱炎だから」と安易に決めつけないことが大切です。

糖尿病、とくにインスリンが不足している場合にも脂肪分解が急激に進み、ケトン体が増えます。日本糖尿病学会も、感染症などの強いストレスによってインスリンの必要量が増加し、糖尿病性ケトアシドーシスを起こすことがあると注意を呼びかけています。

⚠ 早急な受診が必要なサイン

「尿ケトン陽性+高血糖」に加えて、強いのどの渇き、多尿、吐き気、嘔吐、腹痛、著しい倦怠感、速く深い呼吸などが見られる場合には、糖尿病性ケトアシドーシスの可能性があります。

SGLT2阻害薬を使用している方への注意

糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬を使用している方は、血糖値がそれほど高くなくてもケトアシドーシスを起こす「正常血糖ケトアシドーシス」がまれに起こることがあります。感染症や食事摂取不足などのいわゆる「シックデイ」には、特に注意が必要です。

まとめ

膀胱炎の患者さんで尿ケトンが軽度陽性だった場合には、次のような流れで説明できるケースが多くあります。

膀胱炎 → 食欲低下・発熱・水分不足 → 糖質が不足する
→ 脂肪を燃やす → ケトン体が増える → 尿ケトン陽性

一方で、次のような場合には、単なる膀胱炎に伴う一時的な変化とは限りませんので注意が必要です。

 ・十分に食事を取っているのにケトンが強陽性である

 ・尿糖も陽性である

 ・糖尿病がある

 ・SGLT2阻害薬を服用している

 ・吐き気・腹痛・強い倦怠感などを伴っている

補足:発熱と腎盂腎炎

一般的な膀胱炎では高熱はあまり典型的な症状ではありません。38℃前後以上の発熱や悪寒、背中・腰の痛みなどを伴う場合には、感染が腎臓まで及ぶ腎盂腎炎などの可能性も考える必要があります。

気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診することをおすすめします。

片山クリニック
院長 矢島 秀教

  • 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本医師会認定産業医
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