GLP-1ダイエット(肥満外来)
GLP-1ダイエットは本当に効く?患者さんのための最新解説
最近、「GLP-1ダイエット」という言葉を耳にする方が増えています。「打つだけで痩せる注射」「魔法の薬」といった表現も見かけますが、実際にはどうなのでしょうか。ここでは、患者さんに安心していただけるように、仕組みや効果、注意点について、わかりやすくご説明します。
GLP-1とは何か
GLP-1とは、私たちの体が食事をとったときに小腸から自然に出すホルモンのひとつです。このホルモンには、食後に血糖値が上がりすぎないようにする働きがあります。また、胃から食べ物がゆっくりと腸に送られるように調整して、満腹感を長く保つ効果もあります。さらに、脳に「もうお腹いっぱいだよ」というサインを送って、食欲を抑える役割もあります。
このGLP-1の作用を長く、強くしてくれる薬が「GLP-1受容体作動薬」です。もともとは糖尿病の治療薬として開発されましたが、食欲を抑える作用が強いことから「肥満症の治療」にも使われるようになりました。
日本で使える薬と保険適用
2023年には「ウゴービ®」という薬が日本で肥満症の治療薬として承認され、2024年2月からは保険で使えるようになりました。ただし、誰でも自由に保険で受けられるわけではありません。BMIが一定以上であること、肥満によって高血圧や糖尿病などの健康上の問題が起きていることなど、いくつかの条件があります。
もし「ただ体重を落としたい」というだけでは保険の対象にはなりませんが、自費診療として取り扱っているクリニックもあります。その場合は費用が高めになるため、続けられるかどうかをよく検討する必要があります。
どんな薬があるのか
現在、日本で使われているGLP-1関連の薬にはいくつか種類があります。
例えば「ウゴービ®」や「マンジャロ®」は週に1回注射するタイプです。「リベルサス®」は飲み薬なので、注射が苦手な方にも使いやすいです。最近は「ゼップバウンド®」という、GLP-1に加えてGIPというホルモンにも作用する薬が登場しており、より強い効果が期待されています。
どの薬を使うかは、体の状態やライフスタイル、通院のしやすさなどを考慮して医師と一緒に決めていきます。
実際にどれくらい痩せられるのか
個人差はありますが、これらの薬を使うことで数か月で10kg以上の減量ができるケースもあります。海外の大規模な研究では、体重の15〜20%ほど減った方も報告されています。ただし、すべての方が同じように痩せるわけではなく、生活習慣の工夫と合わせて使うことが大切です。
副作用について
一方で、副作用がまったくないわけではありません。よく見られるのは、吐き気や下痢、便秘などの消化器症状です。特に薬を始めたばかりのころに出やすく、少しずつ量を増やすことで落ち着いてくることもあります。そのほか、稀ですが膵炎や胆石などに注意が必要な場合もあります。
薬を安全に続けるためには、必ず医師の管理のもとで定期的に診察を受けることが大切です。
やめた後のリバウンドに注意
GLP-1の薬は、使っている間は食欲を抑える効果がありますが、やめてしまうと再び体重が増えてしまうことがあります。そのため「薬を使いながら正しい食事習慣や運動習慣を身につけていく」ことがとても大切です。薬はあくまでサポート役であり、生活習慣の改善と組み合わせることが成功への近道です。
GLP-1ダイエットが向いている方
GLP-1ダイエットは、BMIが高くて肥満による健康リスクがある方、食事制限や運動だけではなかなか効果が出なかった方に向いています。逆に、体重は少し気になるけれど健康上の問題はないという方には、まずは生活習慣の改善から始めるのがおすすめです。
まとめ
GLP-1ダイエットは、これまで難しかった「食欲のコントロール」を助けてくれる新しい選択肢です。肥満による健康リスクを抱えている方にとっては、とても有効な治療のひとつになり得ます。ただし、薬はあくまで手段のひとつであり、食事や運動の工夫とあわせて続けていくことが大切です。
もしご興味があれば、一度医師にご相談ください。あなたの体に合った方法を一緒に考えていきましょう。

片山クリニック
院長 矢島 秀教
- 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本医師会認定産業医
